ボーイスカウトのこと
始まりは1907年 イギリスで
ボーイスカウト運動は、1907年に イギリスのブラウンシー島で行われた小さなキャンプから始まりました。
このキャンプを主宰したイギリス人退役将軍のロバート・ベーデン-パウエル卿は、かねてから少年教育に大きな関心をもっていて、祖国の少年たちが男らしさを身につけ、将来社会に役立つ人間に成長することを願っていました。
インドや南アフリカで部下たちが率先して兵役に携わっていくよう重ねた工夫や体験をもとに、ランダムに集めた20人の子どもたちとブラウンシー島でキャンプを行ったところ、彼らが生き生きと自主的に活動を始めた姿にとても感動しました。キャンプ生活や自然観察、グループでのゲームなどを続けるうちに、少年たちの旺盛な冒険心や好奇心がまるで泉が沸き上がるように発揮されるのを目の当たりにし、考えていた通り「遊び」から少年たちが自立心や協調性、リーダーシップを獲得していくことを確信したからです。
翌年、彼はこの時の体験に基づいて『スカウティング フォア ボーイズ』という本を発表しました。
この本は爆発的な人気を得、本を手に取った少年たちが自分たちでグループを作り、見よう見まねでボーイスカウト活動を始めるようになりました。
この運動がなによりも素晴らしいのは、提唱者の心に共鳴した少年たちが、自らの意思によって活動と仲間を広げていったこと。この「自発的」の精神こそボーイスカウトらしさといえるのです。
スカウトとは「先駆者」のこと。ボーイスカウトには「自ら率先して幸福な人生を切り開き、社会の発展の先頭に立とうとする少年」という意味が込められています。
ボーイスカウト活動には自主性や協調性、観察力、先を予想して準備を整える大切さに目覚めるきっかけがたくさんちりばめられていて、そのきっかけに導く仕掛けを「スカウト教育」といいます。
現在、世界の中の169の国と地域、約4,000万人がこの運動を推進しています。日本国内では「団」といわれる活動母体が約2,000あり、約11万5,000人が活動しています。全国47都道府県それぞれに県連盟事務局が設置されており、東京連盟内では14地区が活動中。ボーイスカウト世田谷地区は行政区と同じ世田谷区内で活動を展開しています。
ボーイスカウト教育の特徴
●ちかいとおきて(年代によって、やくそくとさだめ やくそくときまり)
思い・言葉・行動の指針となる、ボーイスカウト共通の言葉を持っています。
●小グループ活動
歳の近い2~4学年からなる仲間と活動していくため、自然にリーダーシップ・フォロワーシップ・フレンドシップを体得・発揮しやすい環境です。班はスカウトによる自治のグループとの位置づけで、大人の関与は年齢に応じて徐々に薄くしていきます。
●学び舎は大自然
大自然の中に身を置いて、その神秘さと人知の及ばない強い力、目に見えない存在への畏敬の念や信仰する心を知ることを重んじています。自然に生かされている自分に気づき、自然も周りの人々もたいせつにする心を育てます。
●進歩制度(バッジシステム)
スカウト一人ひとりに眠っている可能性は無限大。生まれ持った才能だけでなく、成長するにつれて興味や関心を持つ分野を得意なものへと伸ばし、苦手なものでも「チャレンジしてみたら少しできるようになった」に進めていきます。表彰として用意されているさまざまなバッジが、スカウトの背中を後押しします。
●自発活動
どんなことも、自分で決めたことはがんばれる。仲間の中にあって「では、自分はどうしようかな」を考える環境が自主性を育みます。
●地域での一貫教育の場
年齢に応じた部門での活動であると同時に、幼児期から青年期(25歳までがスカウト)までの一貫したプログラムを体験できる貴重な居場所です。
こうした特徴を盛り込んだスカウト活動では、「何をするのか」ではなく活動した時間から「どんなことを得るか」が重要だと考えています。世田谷地区にある21個の団の中で具体的にどんなことをしているかも、合わせてごらんください。
年代別 活動風景
ボーイスカウトのスタートは小学校1年生4月から。
でも、もう少し早く活動してみたいなと思うお子さんは、1月から「仮入隊」することができます。
ボーイスカウトでは年齢に合わせ、5つの部門に分かれて活動します。それぞれの年代の特徴にあった教育プログラムがたくさん盛り込まれています。
☆ビーバースカウト(小学校1年生から小学校2年生)
ビーバースカウトがめざすのは、ともだちとなかよく遊ぶこと。
活動はだいたい月に2回くらい。クラフトや室内ゲームだけでなく、近所の公園に出かけ自然を感じながら遊びます。時には生命の不思議を発見し、四季の移り変わりを感じるのはとても豊かな時間。友だちと一緒にたくさんの「はじめての体験」や「びっくり」、そして「チャレンジ」に出会いながら、誰もが同じたいせつな存在だと感じていきます。
☆カブ隊(小学校3年生から小学校5年生)
群れて遊ぶことが最も好きな年代のカブスカウトは、6人くらいの小さな「デン(組)」でまとまって行動します。年下のスカウトたちの面倒をみつつ最高学年のスカウトが組をひっぱり、ロープワーク、組対抗ゲーム、登山、写真コンテスト、舎営と、あらゆる分野の活動を楽しく体験します。「これは好きだな」とか「もっと知りたい」「苦手だけど頑張ってみたら楽しかった」と自分自身を発見していく絶好のチャンスです。
☆ボーイ隊(小学校6年生から中学3年生)
ボーイ隊に入りたての小学6年生「見習い」スカウトにとって中学3年生の班長は、とてつもなく大きな存在。班員に毎回の活動の連絡網を回し、出欠をまとめ、「スカウトハンドブック」の進め方を教え、大きな荷物も担ぎ手際よく飯盒でご飯を炊いてしまう。そうした姿に憧れ、一緒にいたい、追いつきたいと自発の心が大いに刺激されます。自分たちで計画を立てて実行する喜びは、ボーイ隊になってこそ味わえるもの。達成感を持った体験だけでなくマネジメント能力も育つ、学ぶことの多い隊です。
☆ベンチャー隊(高校生年代)
中学校を卒業するころになるとスカウト一人ひとりの関心や興味のある方向が少しずつはっきりしてきて、「みんなで一緒に」よりは個々に活動をすすめていく時間が増えていきます。進学先で新しい友達との時間や部活、課外活動の時間を縫って、なんとか都合を合わせてリーダーや仲間と集まり、自分の興味を深めるプロジェクトを組み立てたり、将来について語り合う自分探しの隊ともいえます。活動の基本はいつもスカウト自身。これまで磨いてきた「自分にできること」「やりたいこと」を思いきり伸ばすチャンスです。
☆ローバー隊(18歳から25歳)
成人の部門であるローバー隊だけは、18歳だからといって自動的に上進することができません。「自分の意思で」「ちかいとおきてにのっとって」活動していくかどうかを決め、先輩スカウトたちに認められてこそ晴れて入隊することができます。創始者のベーデン・パウエル卿が求める通り、カヌーを漕ぐように「自分で決めたコースを、いつも前を向いて積極的に進んでいく」ことを仲間の前で表明した者の集まりは、まさにボーイスカウト運動のエンジン部分。個々に自分自身の社会性や特技をさらに磨きながら、社会に貢献できる人への道を歩み続けます。
スカウト活動Q&A
ボーイスカウトを始めたいけれどちょっと迷っている…という方向けに、ボーイスカウト日本連盟が発行しているQ&Aをご紹介します。6.3MBのPDFファイルです。